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秋田には、いまでも残る伝説の百貨店があると知りやってきました。
その名は、「木内百貨店」

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創業は1889年(明治22年)。
秋田久保田藩、武士の家柄だった木内俊茂さんが木内商店をはじめたのがきっかけ。
1910年(明治43年)に秋田で初のショーウィンドー付の店舗を開き
1932年(昭和7年)、合資会社木内雑貨店を設立して法人化。
1951年(昭和26年)、百貨店の営業を開始。
1955年(昭和30年)、鉄筋コンクリート3階建てに増築し
1957年(昭和32年)には県内初のエスカレーターが誕生。
エスカレーターガールまでいたというもてなしぶりに市民がわいた
1972年(昭和47年)、売り場面積を2倍に拡大し、屋上には展望台と遊園地、3階には玩具売り場と大食堂。
観覧車もあるお子様遊戯場に、お子様ランチや台のついたソフトクリームが人気で、秋田県内から買い物客を集めに集めた盛況ぶり。
全盛期は昭和40年代〜昭和50年代。
従業員約400人で年商130億円。
「秋田の三越」と呼ばれ、木内の包装紙がとにかくもてはやさたという。

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修学旅行で必ず訪れるスポット。
高級品しか置いていない。
ハレの日(特別な日)におめかしをして出掛ける場所。
こどもは親に連れてってもらえば自慢になり、贈答品はここでと誰もが決めていた。
開店には入り口両側に従業員が並んでご挨拶。
木内の従業員ともなるとものすごくステータスがあり、容姿端麗の秋田美人しか採用されなかったという。
閉店時間のころになれば木内の周りには、彼女をお迎えする車やナンパの車がたくさん停まっていたんだとか。
秋田の女性は高校卒業して木内に就職し、ハタチそこそこで寿退社することがゴールデンコース。
秋田を代表する、キラキラと輝くみんなのあこがれ、ステータスのかたまり、それが木内百貨店。

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バスはもれなく停車する木内前。

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細かいことをいうと現在は百貨店協会を脱会しているので「百貨店」ではないようですが、
木内が百貨店っていうのなら百貨店に間違いありません。

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そんな木内百貨店にはいまでは考えられないようなウワサがあり

消費税をとらない
お釣りがピン札

ということ。
これはなんとしても確かめたい!!

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開店時間10分前にギリギリ到着。
扉の前にはわたししかいないので、わたしを迎えるためのオープニングです。



盛大に歓迎されると聞いてましたが迎えてくれた従業員はひとりだけ。
待っているのは小者のわたしだけですから、こんなものでしょう。

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木内百貨店には定休日がある。
かつては毎週木曜日であり、それにあわせて周りの店も木曜日休みにしていたほどだとか。
しかしいつしか水曜、木曜休みになり週休2日制に。
さらに最近では水木に加え、日曜日までも定休日に!!
シフト制にしないのは「いつ行っても同じ従業員がいる安心感」からとの話ですが、週3日も休んで大丈夫なんでしょうか。
17時で閉店というのもお役所仕事っぽくて格式があります。

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売ってるものは高級品ばかりとの話ですが、たしかにブランドものが多く「安くはない」といった印象。
ぐるぐる何度も品定めしましたが、どれもこれもミセス向けといいますか、なかなか手軽に買えるものは見当たりません。
もちろんかわいいハンカチやオシャレな傘も売ってますが、今回は少しかさばったもの、かつ名古屋まで持って帰れるものを買わないと。
包装してもらい、紙袋に入れてもらうのが狙いですから。

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従業員のみなさんは紺色ひざ下丈のジャンバースカート。
お客もミセスなら従業員もミセスという話も、実際はミスからミセスまで、秋田美人は幅広くいらっしゃいました。

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ここが伝説の百貨店といわれる理由のひとつに従業員全員が木内の人」
現在の百貨店はほとんどテナント頼りで、家賃と一部売上をいただくことで百貨店が成り立っているわけですが、本来百貨店とは百貨店が仕入れ、百貨店の従業員が売っていました。
木内ではいまでも木内が仕入れ、木内の人が販売しているようです。

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ピカピカに磨かれた床
つきあたりが見えないほどに長い通路
天井にも壁にも照明が光り、鏡の柱でさらに明るさを増幅。
店内を歩くだけで優雅な気分に浸れます。

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ところどころ白い壁で覆われているところが。
ここの奥には上の階へ行ける階段やエスカレーターが隠されているのでしょうか。

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木内の気品を表す、エレガントでステキな照明に注目!!
何種類かの照明が同居しています。

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外からガラス越しに見るとさらに美しさが増す照明。
見とれてしまいますね。

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化粧室にはちゃんと、パウダーコーナーも完備。
鏡の脇には生花が添えられています。

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ここの壁だけなにやら飾りがついています。
特別コーナーでしょうか。

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お釣りはピン札
をたしかめるためにはなんとしてもなにか買わなければ!と念入りに見て回った結果、化粧品といえば資生堂!コーナーで石鹸を買うことに。

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このあたりなら愚民のわたしでも手が届きそう・・・!

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「これください!」
「千円でございます。」
表示価格以上の請求もなく、税金なしのきっちり千円。
※ちなみにクレジットカードは使えません。

お釣りをもらいたいがために
「一万円でお願いします!」
「ではお釣りは…」
と出てきたのがなんと
本当にピン札…!!
五千円札はないのでしょうか。
なぜか全部千円札です。

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全部ピン札。
もしかして…とよく見たらやっぱり
すべて通し番号で揃ってる!!

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そしてもちろん
あげる相手もいないのに
「包装してください。あと紙袋も…」
と図々しくいただきました。

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丁寧に包装してくださるお姿も実に美しい。

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達成感のあまり、その場で撮ってしまいました。
これがステータスの象徴か…!!
感無量。

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いま見てもオシャレな紙袋と包装紙。
普段使いすれば一躍人気者に。

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名入りのテープはもちろん、キレイに名前が入る位置でカット。

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かぐわしい香りを放つ資生堂の花椿石鹸。
これでカラダを洗えば誰もが振り返るでしょう。

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かつてはこの覆われた部分が展望台になっていて、
その上にはデッカイ木内の看板が立っていた。
屋上にはお子様遊戯場という遊園地があったっていうんだからまさに夢の国。

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奥行はゆうに100メートルは超える長さ。
とにかくめちゃくちゃ広い。

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隣には木内の納品口も。
4階建てのやたら巨大な施設です。

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バリケードまで木内オリジナル。
なんともいとおしい。

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閉店時間はあっという間に訪れシャッターが閉まってしまった木内の裏側。

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3階には大きなカーテンが見え、豪華な印象。

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現在は1階のみの営業になっていて、定休日も増え縮小傾向にあるようですが、せっかく昔の木内がそのまま残っているのだから、いまこそ木内百貨店の2階3階を復活させるときなのでは。
秋田市のチカラでなんとかよみがえらせていただきたいですね。
必ず再び秋田の星になると思うのになあ。

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秋田に行ったら必ずまた買い物に行きます!!

★★★★★★★★★★

さて、この記事のことをツイッターでつぶやいたところ、想像以上の反響があり驚いております。
これほどまでに多くの方の思い出に残り、木内を知らない方の心も動かす百貨店がほかにあるでしょうか。
1階にあった噴水ジュースと呼ばれる生フルーツジュースが絶品だったこと、1階には食料品が、3階には玩具売場があったこと、大食堂ではホットケーキやアイスクリームを食べたお話や、お子様ランチには木内の旗が立っていたこと、もちろん屋上遊園地の話や、かつては床がじゅうたん張りだったことなど、貴重なお話がもりだくさん。
そこで、お寄せいただいた記憶や思い出と反響をモーメントでまとめましたのでご覧ください。



木内百貨店

住所: 秋田県秋田市中通1-3-1
TEL: 018-833-0131
営業時間: 10:00~17:00
定休日: 日曜・水曜・木曜





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