むかーしむかし、西暦でいうところの3~4世紀。
シチリア島の中央あたりにローマ時代の貴族の別荘が建てられたそうな。
その別荘はしばらくの間土砂に埋まっていた状態で、19世紀になって発見・発掘。
別荘には数えると63もの部屋がありめちゃくちゃ広く、その床すべてには大変見事なモザイク画が描かれていました。
というわけで今では世界遺産にもなっているヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ、カサーレの別荘にある、とんでもなく大量のモザイク画を見ていきましょう。
まず遺跡の入り口を入るとここは浴場。
温水はもちろん、冷水やサウナ、マッサージ室まで完備。
ご覧ください!
床には見事なモザイク画がびっしり。
一番手前に見える絵は海の精ネイレス。
モザイクは21種類の石と16色の色ガラスでできていて、これらの色は石に色を塗ったのではなく、それぞれの色の石をはめ込んだ、つまり自然の色。
こちらはマッサージ室。
マッサージは奴隷がする仕事で、手にはオイルを入れたバケツを持っている様子。
浴場に入る前にはこの運動場でひと汗かいてから入る流れ。
続いてこちらは正門。
ここはたぶんこんなだったのでは?という予想図。
右側の赤いのが正門。
左の白い入り口を入ると玄関です。
こちらは玄関の間。
床には燭台を持って客を迎える主人の絵。
玄関の奥には広い中庭と、
中庭をぐるっと囲む回廊。
回廊の床もまたすごい!!
ひとつひとつ動物の絵が描かれてて、その表情がまたかわいい~!
ひとマスひとマスシンボルマークみたいになってて、グッズ化しやすいなこれは。
こちらは浴場の更衣室。
中央が奥さま、その両脇が子供、さらにその左右に侍従を引き連れて浴場へ行く様子。
人や動物の絵じゃない、こうゆう幾何学模様のモザイク画は使用人の部屋。
使用人とはいえ10畳くらいありそうでかなり広い。
ここでもいいです!!住まわせてください!!
こちらは四季の間。
上の丸から順に春、夏、秋、冬をあらわしている。
こんな風に63の部屋、全部違うモザイク画が描かれていて、とんでもない規模。
こちらは釣りをする天使たち。
当時贅沢品だったサカナを神の使いである天使が釣るという、富裕独特のユーモアセンス。
こちら、かなり広い小狩猟の間。
お客さんをもてなすための食堂だったそうな。
食料を調達するための大切な仕事であり、また娯楽でもあった狩猟をテーマに、あっちこっちで道具や罠を使って動物を捕まえたり、調理をする様子が見えますね。
いろんな人や動物がいろんな動きをしていて、じっくり見たくなる作品。
小狩猟の間を抜けると、カサーレの別荘で一番の見どころでもあるこの廊下!
大狩猟の廊下といって幅3m、長さは60m以上あるんだって!
子どもだったら全力疾走したくなるなあ!
大狩猟の廊下というだけあって、この広い廊下には壮大な狩猟シーンが描かれている。
いろんなところでいろんな動物が描かれていて、何日かかけてじっくり見たい。
ここでは仕事としての狩猟のほかに、円形劇場でのショーのために猛獣を生け捕りしている場面が描かれているのがポイント。
そのため鹿やイノシシに代わり、今までにいない動物たちがいるぞ。
ヒトより大きな鳥はダチョウかな?
動物たちが船に乗って運ばれる様子。
こっちにはバッファロー級の牛や、上にはトラがいるぞ。
こっちにはゾウやラクダも。
これらの動物はアフリカやインドから連れてきてたらしい。
こっちにはサイもいるね。
よく見るとひとつひとつ石をはめ込んで描かれたモザイクってのがわかる。
これだけの大作、よく作ったな~
こちら、大きなトラの右には
上半身が鷲、下半身がライオンでできた伝説の生物、グリフォンがいる!
え?もしかして本当にいたのかな??
続きまして、カサーレの別荘でもっとも有名な間とされているのがココ。
ビキニの少女の間。
紀元3~4世紀の時代に、すでにビキニがあった!と話題の場所。
彼女たちはアスリートということで、様々な競技をしている様子。
こちらはボール競技かな?
左の人はダンベルを持っている。
右の人は優勝したんでしょうか。
冠をかぶってますね。
こちら中庭にも見事なモザイク。
ここのモザイクの床は普通に歩いてもOKなエリア。
逆に気ぃ遣うわ。
ライオン
クマ
こちらはこども部屋。
狩猟の練習をするのに、馬の代わりに鳥がくるまを引いている様子。
こちらもこども部屋。
こどもがウサギを追いかけたり、クジャクが描かれてたりしててとにかくかわいい。
こちら吹き抜けのあるアトリウム。
床に描かれたモザイクはもちろん、壁に描かれていたフレスコ画もうっすら残ってるんですね。
床にはここにも釣りをする天使の絵。
このモチーフ、気に入ってんな~
こちらはこども部屋の前室、エロスとパンの前室という名前。
悪魔のような左がパンで本能をあらわし
天使のような右がエロスで理性をあらわしている。
周りでは両者を見守る審判が描かれていて、理性と本能のコントロールが必要であることをあらわしてるんだとか。
なるほど~!!
人生ってその繰り返しだもんな~!!
こちらはアリオンの居間。
中央にいる人が主役のアリオンで、神話に登場する竪琴の名手。
竪琴を奏でるアリオンの周りで、天使や海の生物が演奏を聞き入っているというシーン。
こちらはご主人と奥さまの寝室の前室、ポリュペモスの前室。
ポリュペモスとは、ギリシャ神話に登場する英雄オデュッセウスが、故郷に帰る際に出会ったひとつ目の巨人。
オデュッセウスは巨人に仲間を何人も食べられてしまうと、オデュッセウスは巨人にワインを勧めて泥酔させ、巨人のひとつ目を仲間と協力して棒で潰し、羊の腹に隠れて逃げ出すという話。
この絵はそのオデュッセウスが、ひとつ目の巨人ポリュペモスにワインを振る舞っているシーンなんだけど、ひとつ目のはずの巨人は3つ目があるし、その左手には内臓むきだしの羊がいて、聞いてる話と違う。
そしてこちらがご主人と奥さまの寝室、愛の寝室。
夫婦の絵であろう中央の丸を囲むように、周りにはいろんな女性の絵が描かれていて、オレさまは多くの女を囲ってるんだということをあらわしているんだとか。
いつの時代も、どこの国でも権力者のやることは同じですね。
こちらは裁判や商取引などが行われた集会所、バジリカ。
ここの床は大理石でできていたんだけど、長い年月と地震によって大きく歪んでしまったもよう。
いかがでしたか。
めちゃくちゃ見ごたえのあるカサーレの別荘。
モザイク好きは見逃せないスポットでしょう。
カサーレの別荘があるピアッツァ・アルメリーナの街もステキなので、食事や散策におすすめです。
カサーレの別荘 ヴィッラ・ロマーナ・デル・カサーレ
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