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元遊郭、今旅館の物件は過去にも、新潟の金沢屋旅館新むつ旅館広島の一楽旅館や、料亭である大阪の鯛よし百番をご紹介してきましたが、今回は萩市にある旅館、芳和荘です。
入り口からこの風格、いいですね。
たるんだ身が引き締まります。

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入り口の扉を開けると明るくキレイな玄関に、ピッカピカに磨かれた床。

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体をバタつかせてもなんのセンサーにも引っかからず、宿の人を呼ぶにはこの受付についてるインターホン
の下にある呼び板を付属の棒で叩くというもっとも省エネで人を呼ぶ方法を採用。

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ダンディで気さくなご主人の案内で部屋に通され、今回の部屋がこちら。
芳和荘では27ほどの部屋があるうち、現在は2階の9部屋のみ使われているのだそう。

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部屋のテレビは今やレトロ家電のブラウン管。
と、その上に「こんなんで電波受信できるのかよ?」と疑ってしまうおもちゃのようなチューナーつき。
さて、荷物を置いて一息ついたら早速、館内の写真を撮りまくろう!

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まず2階にあがって最初に目につくのが、外からでは一切見えない広い中庭。
夜でも明るい光に照らされてその美しさがわかりますね。
これら植木の剪定はご主人自らおこなってるのだそう。すごいな。

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見上げればそう、ここは屋外。
夏は暑く、冬は寒く、雨が降れば濡れるし、晴れてれば星空が見える、気候をダイレクトに感じられるナチュラル仕様。

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芳和荘一番の見どころでもあるのがこの、中庭の四方を囲う“ロの字型”の回廊。
ここから中庭の眺めが最高にステキ。
しかも今回の宿泊者はわたしだけなので、この空間ひとり占め。
何度も何度もグルグルグルグル、同じ角度の同じ写真を何枚も撮りたくなるでしょう。

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夜風が涼しくて気持ちいい最高の空間。
ぼんやりとこの雰囲気を、ずっとかみしめていたいなあ

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現在のご主人が家族でここへ引っ越してきたのは昭和39年。
そのころは下宿屋として使われていたのだそう。
そのあとすぐに旅館になり、芳和荘として50年も営業中。

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もともとここは「梅木」という屋号で営業していた遊郭で、大正時代に建てられてからおよそ100年。
1958年の売春防止法が施行されたあとは旅館に転業。そのあと下宿屋になり今旅館という経緯。
100年も経つとさすがに廊下や部屋は歩くたびにギシギシと音をたて、手すりや床をよく見るとゆがんでいる。
それでも隅々までよく手入れされ、大切に使われているおかげで今でも泊まることができるのは、キレイ好きなご主人のおかげですね。

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ケヤキの階段、アカマツの廊下。
隅々まで磨かれていてとても築100年とは思えない。

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芳和荘には階段が全部で4カ所。
ウロウロ歩いているとどっちを向いてるのかわからなくなるくらいとにかく広い。

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共同の洗面所にはいろんな大きさのタイルが。

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階段の下は何度も開けたり閉めたりしたくなるかっこいい下駄箱。

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このサインが飾られているのは人気の宿の証拠。
知らんけども。

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風呂場はどことなく城壁のような作りで、壁には△や□の狭間(さま)と呼ばれる敵に向かって鉄砲や矢で攻撃するために開けた穴まで再現。

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男湯のこちらも同じように城壁スタイルで、イスの代わりに岩に座って体を洗う前代未聞な造りになっている。

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朝になりました。
部屋から一歩出れば外!
めちゃくちゃ清々しい~!!
暗がりでは見えなかった場所も含め、夜とは違う朝の雰囲気を楽しみましょう。

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朝の中庭。
よく見るといろんな種類の植木が並んでたんですね。

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朝になったら注目してほしいのが、中庭を囲う回廊の欄干。

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欄干にはひらがながくり抜かれてて、順番に読むと
「ち」「よ」「う」「し」「ゆ」「う」「ら」「う」
これ、ちょうしゅうろうと読み「長州楼」とは、遊郭時代の隠れ屋号なんだって。
なにこのトリックみたいな仕掛け。
めちゃくちゃいいな。

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ちょうしゅうろう・・・ちょうしゅうろう・・・と読みながら何度も回廊をグルグル歩く。

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明るくなってから見えてくる遊郭時代の面影。

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昔は元遊郭っていうと後ろめたい時代で、遊郭時代の記録を残す資料などはすべて処分されてしまったんだって。
しかし近年になって審美眼を持つ人が続々と現れ、萩市は景観重要建造物に指定したり、ひとり旅の女性客も増えてるんだとか。
いい時代になりましたね。

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ここだけ洋間のような待合室。

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芳和荘のある東浜崎地区にはかつて10軒ほどの貸座敷があったようで、現在でも残っているのはもちろん芳和荘1軒のみ。

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芳和荘の手前にひっついているここはかつての張見世で、遊女が往来に面した店先に並んで格子の内側から自分の姿を見せて客を待っていたとか。

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芳和荘の北側にはモンスター級のツタが豪快に絡まっていて壮観。

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反対側の壁を見るとかなり奥行きがあって、芳和荘の大きさがよくわかる。

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こちら側にも意味深な入り口が2つ。
一体どこにつながってるんでしょうか。

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現在は素泊まりのみの宿泊だけど、気配り上手で話しやすいご主人との会話と芳和荘の最高の雰囲気は、今ここでしか味わえないもの。
萩での宿泊はここで決まり!


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芳和荘

住所: 山口県萩市東浜崎町2区の1
TEL: 0838-25-3470




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