中村遊郭で長年、大衆食堂兼居酒屋として営業を続け、愛されてきた「善ちゃん」が、2020年に閉店してしまったとのこと。
「知らない人はあまり来てほしくない」と、常連さんを大切にされていたため、ブログに載せてませんでしたが、閉店してしまったとのことなので、記録として残しておきます。
入口からもうその、知らない人を寄せ付けない風格あるたたずまいは、一見さんであればのれんをくぐるのにかなり勇気がいる。
開けるのにコツがいるトビラを開けると、チャキチャキと元気に働く女将さんが1人で切り盛りをしていた。
店内は、まだテレビでたばこを吸っていた時代のドラマに出てきそうな、激渋な雰囲気。
左にはカウンター席、右には小上がりが2席。
足元はコンクリートがむき出しで、壁には手書きのメニュー。
棚にはお酒や食器が敷き詰められ、全体的にヤニで茶色がかっている。
なにこれ!!めちゃくちゃステキ!!
床には火鉢と、奥の大きい筒状のものは灰皿。
小上がりから眺めるカウンターが特に絶景で、女将さん手作りのおかずが、大皿に盛りつけてあって、ここから食べたいものを選ぶビュッフェスタイル。
古い食堂でさえも、こうやって並んでる店なんてなかなかお目にかかれないよね。
そしてこの、壁にずらり並ぶ手書きのメニュー札。
長い年月を過ごしてきたことを示す、貫禄のあるすごい色に染まっている。
レトロをテーマにした店でも、これは再現不可能でしょう!
端から順番に制覇していきたくなるほど、いとおしいメニューの数々。
このフォント、読みやすくてかわいくて、味があって最高じゃない?!
わたしの部屋にも並べたい!!
その日の食材や気分で変わるメニューも。
このほかにも食材さえあればなんでも作ってくれるという、まさにみんなのおかあさん。
ストーブであたためられていたおでん。
もちろん名古屋だから味噌で食べる。
右に写ってるのがここのご主人、善ちゃん。
左が女将さん。
「昔は御園座に来る芸能人がたくさん来てたよ。」
「美空ひばりも来てた。」と、いろいろ聞かせてくれました。
開業から60年以上。
ほかにも藤山寛美、由利徹、ミヤコ蝶々など、昭和のトップスターたちに愛された歴史ある店。
奥には緑のじゅうたんが鮮やかな座敷も完備。
昭和すぎるランプシェードも、一周回ってエモい!かわいい!と今では人気アイテム。
天井の近くを見上げると、ややや!これは!!
子孫繁栄に効果のありそうな飾りを発見!!
ごま油が決め手の、ナスの炒め物。
どこが傾いてるのかわからない、スープがひたひたでこぼれそうな中華そば。
昔は出前もやってたりしたから、どこの店かわかるように、名入りの食器も並ぶ。
どれくらい経ったでしょう、結構長い時間堪能してしまいました。
食事もおいしいし、女将さんもいい人で、すごく居心地がよくて、ファンが多いのもうなづける。
身近にあったらしょっちゅう通いたくなるなあ、全メニュー制覇したいなあ。
また絶対に来ようと思ってたのに、残念ながら閉店してしまいました。
長い間、お疲れ様でした。
ありがとうございました。
よく見ると善ちゃんの隣の建物にも「善ちゃん」の文字が。
かつてはめちゃくちゃ広かったんだなあ。
善ちゃん
住所: 愛知県名古屋市中村区賑町24
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