ここは、江戸時代中期に整備された中山道妻籠宿と伊那谷を結ぶ街道。
この鬱蒼とした山道を走っていると、突然
うあ!!家だ!!
しかもめちゃくちゃ古そうだ。
なんだここは。
ようこそ、ここは妻籠と伊那谷を結ぶ街道のほぼ中間地点、大平(おおだいら)宿。
昭和45年まで人が住んでいたものの、その後集団移住して現在は廃村となっているよ。
現在は当時の建物を保存しようと、有志の方々が定期的に様子を見に来られたり、畑仕事をしに来たりすることで維持管理されており、いつでも誰でも見学可能。
さらに予約をすれば電気水道風呂トイレ付のほぼすべての民家で宿泊体験もできるってのが画期的。
というわけで、気軽に街の様子を見てみよう。
街の様子はこんな感じで、街道沿いに15軒ほどの民家が残っている。
かつては実際に住んでいたんだけど現在は誰も住んでいない。
しかし、さすがにしっかり管理されているだけあって、かなりキレイな状態。
民家はどれも江戸時代末期から明治時代にかけて建てられたものばかり。
それでもこれだけしっかり建ってるのって、まじすごくないですか??
こちらも同じ街道沿いにある建物。
人が住まなくなって管理されていないと、木造の家はボロボロになってしまう。
管理されているものと見比べると全然違いますな。
よく見ると、民家の2階部分が前にせりだしているのがおわかりだろうか。
これは旅人が軒下でちょっと休むためにあるものだとか。
この日は日曜日で管理されてる方々が来ていたからか、ほとんどすべての民家に入ることができた。
街道に面した入口を入るとすぐ、広い土間があるのも休み茶屋の特徴なんだとか。
たしかにほかの街でよく見る古民家とは作りが違うなあ。
それにしても、障子やふすま、畳に板張り、思ってた以上にめちゃくちゃキレイ。
こりゃ全然住めるな~と思ったら、よく学校の生徒が社会科見学やら体験学習やらで合宿に来るんだとか。
なるほどそれはうってつけの場所。
土間の横にはかまどと台所セットも完備。
薪や炭を使って、いろりやかまどでご飯作って食べて、畳の上でザコ寝か~
子供のころの自分だったら(少々潔癖なので)こんな旅行めちゃくちゃイヤだけど、今だったら全然楽しめるな。
古い家具の隣には現代的な冷蔵庫も。
やはり現代人は、文明の利器には頼りたい。
電気と水道は完備されてるけど、火だけは自分たちでおこさないといけない。
こうゆうのはある程度知識のある大人だからこそ楽しめる非日常空間。
衛生面がゆるい古民家での生活で、一番心配なのはやはり風呂トイレ問題。
しかしここ、お風呂だけはやたら時代錯誤では?と思うほど昭和なスタイルなのが逆にありがたい。
お湯は壁越しのかまどで火を焚かないとできないものの、さすがに水回りは傷みが早いのでしょう、浴室浴槽はやたら新しくてキレイ。
こどもなら3~4人同時に入れそうな少々広めの浴槽。
ここでキャッキャしながら暴れる光景が目に浮かぶ。
トイレはぼっとん便所ではあるけど、和式をむりやり洋式にアレンジしたもの。
新聞紙やちり紙ではなく、ちゃんとキレイなトイレットペーパーが設置してあるところは感動しちゃったな。
民家の中とは別に、公衆便所も同じぼっとん便所スタイルで完備。
意外としっかり観光地らしくなってるので、安心して見学できる。
こうゆう古い建物にくっついてるからこそ、よりリアルさを増すレトロ看板。
民家の前には江戸時代に整備された小川が流れていて、冷蔵庫代わりにも使える。
有志の方の話では、かつては女の人が関所を越えることは大変難しいことだったため、関所を回避するためにこうした裏ルートが使われたって聞いてワクワク。
なにかを禁止すると闇の市場が発展するのは、いつの時代も同じですね。
こちらは明治時代に建てられた小学校。
多い時で生徒数が90名を超えていたという。
明治時代、最盛期は70軒もの家が建っていたらしいけど、道路や鉄道の開通や林業の衰退で、昭和35年には38軒にまで減少。
そして昭和45年には集団移住したわけだけど、今でもこうして管理され残してくれているのは本当にありがたいな。
一見、1階平屋建てのように見えるけど
反対側から見ると、実は2階建ての物件。
同じことを何度も言いたい古民家。
道を歩いていると不審者だと思われたのでしょうか、知らないマダムに声をかけられました。
「イタドリって知ってる?」と、マダムはずんずん草むらの中へ入っていき、なにやら植物を刈り取ると
「はい、あげる。皮剥いてお湯にくぐらせて、色が変わったら水にさらして。そのままでもいいし、炒めたり和え物にしたりするといいよ。」
マダムはわたしにイタドリという山菜をあげると、再び草むらに入っていきました。
おしまい。
さらにここの前では「ちょっと中に入ってお茶でも飲んでいきなよ。」と声をかけられ、入ってみると
店内は食事処で、通常だったらバイクや自転車に乗って来る人や、古民家の宿泊客なんかでにぎわっていたところ、現在はコロナが怖くて休業中なんだとか。
一番のお宝は毎年必ず来てくれていたという、踊るポンポコリンでおなじみB.B.クイーンズのサイン色紙。
つい最近まで来てたのに、コロナが始まってから来なくなってしまったとか。
B.B.クイーンズさん、コロナが落ち着いたら大平宿に必ず来てよ~
大平宿
住所: 長野県飯田市上飯田7929
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